レッド・ガーランドの極上
粒ぞろいの名演が揃った愛すべき1枚『WORKIN’』。いきなり1曲目の頭からレッド・ガーランドの瑞々しいピアノに魅せられ、そこにマイルスのミュートが入ってくる必殺パターンにやられます。繊細でリリカルという言葉はビル・エバンスによく使われますが、レッド・ガーランドにこそ相応しいと思います(エバンスはもっともっと過激です)。2曲目は軽快なテーマからマイルスのトランペットがオープンで、これまた軽快にノリます。3曲目、今度はいきなりマイルスのミュートソロから始まりと聴きどころ続きの名演です。
“マイルス50年代黄金のクインテットによるマラソンセッション”の1枚としてひとくくりに表現され、かつ4部作の中では『クッキン』『リラクシン』『スティーミン』より下に見られることの多い本作ですが、そういった予備知識の害を思い知らせてくれます。
『IT NEVER ENTERED MY MIND』という曲自体が好きなこともありますが、レッド・ガーランドのピアノの瑞々しさが耳に心地よく残り、時に無性に聴きたくなります。
ただし、プレスティッジとの契約を早く終わらせたくて、4日間で4枚分という「マラソンセッション」をしたのは4枚ともに素晴らしい演奏ですからよいとして、この『WORKIN’』のやっつけジャケットだけは変えてほしいところです。
- IT NEVER ENTERED MY MIND(Rodgers-Hart)5:23
- FOUR(Miles Davis)7:12
- IN YOUR OWN SWEET WAY(Dave Brubeck)5:42
- THE THEME(Take1)(Miles Davis)1:58
- TRANE’S BLUES(John Coltrane)8:33
- AHMAD’S BLUES(Ahmad Jamal)7:23
- HALF NELSON(Miles Davis)4:46
- THE THEME(Take2)1:05
レーベル:PRESTIGE
録音:1956年5月11日、ニュージャージー
(7のみ1956年10月26日)
- Miles Davis:trumpet(except#6)
- John Coltrane:tenor sax(except#6)
- Red Garland:piano
- Paul Chambers:bass
- Philly Joe Jones:drums