マイルスは自身の音楽にレコード会社や白人の批評家連中がレッテルをはるのを嫌いました。クラシックとかジャズとかロックという言葉は、より多くの人とコミュニケーションをとるために必要な道具です。「JAZZ BAR」のJAZZはやはり商売する上では必要なものと思います。かくいう私も親父の「JAZZ好き」から「マイルス好き」となったわけですし。

しかし、ミュージシャン自身の認識はマイルスのようにあって欲しいです。「ジャズじゃない、オレの音楽だ」と言い切ってもらいたい。すでにマイルス・デイビスが世界に名を轟かせているいま、マイルスの音楽に近づくための言葉としても不要なものです。そして何より、マイルスの場合、マイルス・デイビス ミュージックを「ジャズを聴こう」という動機で聴くことは皆無です。

『MILES ON MILES』 より