やっと高音質のオランダライブが聴けるか?
2013年3月27日発売
辞めたがるコルトレーンをやっと引き止めて出発したマイルスバンドヨーロッパツアーと、コルトレーン脱退後にソニー・スティットにサックスを替えて再び訪れたヨーロッパツアーにおける、同じアムステルダムのライブを収めたのが本作『THE COMPLETE 1960 AMSTERDAM CONCERTS』。
コルトレーン版は場所を変えてのダブルヘッダーだった1960年4月9日、真夜中に行われたオランダ・アムステルダムにおける2回目の演奏。ソニー・スティット版は同年10月15日~16日に行われた同じ場所の15日分の録音。
購入者の期待はもちろん4月9日、コルトレーンの演奏でしょう。本作には「コルトレーン最後」(4月9日)と「すぐやめちゃたソニー・スティット」(10月15日)が収められていますから、聴き比べて楽しむことができます。
ツアー終了後にコルトレーンは脱退し、後釜を探して、ソニー・スティット、ハンク・モブレー、ジョージ・コールマン、サム・リバースを試してみたものの誰もしっくりきません。しかし、そこはさすがカリスマ・マイルス、1963年にはウェイン・ショーターと宿命的な出会いを果たすことになります。
ジョン・コルトレーンは1955年にマイルスバンドに加入しましたから、1960年まで5年の間在籍しマイルス・バンドバンド脱退から7年後の1967年この世を去ります。
1960年ヨーロッパツアーのアルバムは、「マイルスバンド最後のコルトレーン」という価値とともに、マイルス50年代黄金のクインテットが最も成熟した時期のライブ演奏であるがゆえに、「モダン・ジャズ」というくくりの中で最もハイレベルな演奏が聴けるということが人気がある大きな要因でしょう。どの曲もとても高いレベルにあります。
これまでも同日のアムステルダムでのライブはブートレグで出ていましたが音質がかなり悪く、これが残念でしたから2011年に音源が見つかって以来、発売を待ち望んでいたファンも多かったことでしょう。本作『THE COMPLETE 1960 AMSTERDAM CONCERTS』に大いに期待しつつ発売を待ちましょう。入手次第、内容を交えた原稿をアップします。
最後にマイルスバンドヨーロッパツアーの日程を見てみましょう。実にハードスケジュールです。
3月21日パリ、22日ストックホルム、23日オスロ、24日コペンハーゲン、25日ハノーバー、26日オルデンブルグ、27日ベルリン、28日デュッセルドルフ、29日ハンブルグ、30日フランクフルト、31日ミラノ
4月1日カイザースラウテルン、2日ケルン、3日ミュンヘン、4日カールスルーエ、6日ウィーン、7日ニュルンベルグ、8日チューリッヒ、9日スヘフェニンゲン(オランダ)、9日アムステルダム、10日シュトゥットガルト
ライブでの曲目
アムステルダムライブ(4月9日)
- INTRODUCTION
- IF I WERE A BELL
- FRAN DANCE
- SO WHAT
- ALL BLUES
- THE THEME
録音:1960年4月9日、オランダ、アムステルダム
- Miles Davis : trumpet
- John Coltrane : tenor sax
- Wynton Kelly : piano
- Paul Chambers : bass
- Jimmy Cobb : drums
アムステルダムライブ(10月15日)
- INTRODUCTION
- BUT NOT FOR ME
- WALKIN’
- ALL OF YOU
- SO WHAT
- THE THEME
- WHISPER NOT
- EASE IT
- STARDUST
- OLD FOLKS
- ALL BLUES
- THE THEME
録音:1960年10月15日、オランダ、アムステルダム
- Miles Davis : trumpet
- Sonny Stitt : alto sax
- Wynton Kelly : piano
- Paul Chambers : bass
- Jimmy Cobb : drums