マイルス&ホレスのファンキー&クール
『WALKIN’』もまた好き。好きなアルバムばかりで本当、マイルスには困ります。『WALKIN’』を聴きかたはおおむねこうです。まず儀礼的に1曲目から普通に入り、最初のテーマを聴いたら2曲目へ、あとは気分次第ですが最後の5曲目は必ず聴きます。 ピアノのホレス・シルバーがたまりません。私はこのホレス・シルバーというピアニストが大好きです(寺山修司さんもファンだったとか)。ファンキーで飛び抜けた構成美、ファンキーといっても酒をくらったいきおいでというのではなく、風貌同様のクールなグルーブなのです。 特に5曲目、そのホレス・シルバーのクールでファンキーなバッキングにディジー・ガレスピーのように吹くマイルスのトランペットが高速でかぶさってきます。これだけ高速かつファンキーにのりつつも抑えて抑えてまったく緩まない崩れないのクールな二人、マイルスとホレス。最初から最後まで最高の興奮状態から解放してくれない7分間。何度聴いてもかっこよすぎる。こんなクールな二人にはもう唸るしかないのです。 麻薬から自力で抜け出したマイルス帝王物語のファンファーレというのが本作のステレオタイプ的表現です。たしかにそうです。1曲目がその後マイルスの名レパートリーとなっていく『WALKIN’』であり、表現どおりファンファーレがなり響きます。マイルス自身も「人生を変えたアルバム」と振り返っています。
- WALKIN’(Rechard Carpenter)13:26
- BLUE’N’BOOGIE(Gillespie-Paparelli)8:15
- SOLAR(Miles Davis)4:45
- YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS(Raye-Depaul)4:20
- LOVE ME OR LEAVE ME(Donaldson-Kahn)7:00
レーベル:PRESTIGE
録音:1954年4月3日(3,4,5)、29日(1,2)、ニューヨーク
- Miles Davis:trumpet
- J.J.Johnson:trombone
- Lucky Thompson:tenor sax
- David Schildkraut:alto sax
- Horace Silver:piano
- Percy Heath:bass
- Kenny Clarke:drums