コルトレーン最後期&ちょっとだけのソニー・スティット。「聴きやすいベスト盤」的ライブ


IN STOCKHOLM 1960 Complete

購入前に重要な注意点があります。この『IN STOCKHOLM 1960 COMPLETE』にはいくつか種類があり、ウィントン・ケリートリオなどを収録したCD2枚組「complete」ではなく、マイルスバンドのみを収録したCD4枚組の「complete」を購入してください。全23曲が収録されており、頭の1~4曲がジョン・コルトレーン、残りの曲がソニー・スティットのサックスになっています。スウェーデンの「DRAGON」というしっかりしたレーベルのものなので、音質も問題ありません。

マイルスバンドにおけるジョン・コルトレーン最後期の演奏を捉えています。5曲目以降でサックスを吹くソニー・スティットはピンチヒッターとして採用され、翌61年にはすぐ脱退し、ジョージ・コールマンのサックスによる60年代黄金のクインテット(第1期)へと繋がって行きます。

最も興味深いのはやはり1~4。コルトレーンがナゲヤリ気味になり(もう辞めるからいいや?)、周りのメンバーはやらせとけといった感じです。きっとこれから進みたい音楽世界が頭を占拠していて、そのイメージがもうできあがってしまっているのでしょう。マイルスの言葉がよくそれを表しています。「トレーンがオレのバンドにいた終わりの年(1960年)は、奴は自分のためだけにやっていた。そうなると、バンドからは魔力が失せ、一緒にやるのを喜んでいたメンバーも、どうでもいいやって気持ちになってしまうんだ。で、バンドはバラバラになって、音楽からも生気がなくなってしまう」

5曲目以降は、ソニー・スティットがアルト&テナーサックスを吹きますが、評判どおりあまりぱっとしません。急にコルトレーンが抜けて困ったマイルスが急ごしらえで入れたという事情がそのまま表れています。そのため、音楽は「習性でなく創造的な直観で」というマイルスの基本姿勢は鳴りを潜め、「習性」で演奏されます。

しかし、この辺りにコルトレーン最後期云々以外、もう一つ購入する価値があります。曲目はベスト盤ともいえる構成です。「SO WHAT」も「枯葉」も、「ALL BLUES」「WALKIN’」「’ROUND MIDNIGHT」も、「IF I WERE A BELL」も入っています。演奏は「習性」に沿って安定というかよくいう「聴きやすい」ものになっています。とはいえマイルスバンドによる演奏です、レベルは高いです。したがって、『IN STOCKHOLM 1960 COMPLETE』は「聴きやすいベスト盤」的に活用するのがよいと思います。

 
Disk 1
1 SO WHAT(Miles Davis) 15:19
2 ON GREEN DOLPHIN STREET(Washington,Kaper) 13:40
3 ALL BLUES/THE THEME(Davis) 17:12
4 COLTRANE INTERVIEW 6:14
5 SO WHAT(Davis) 10:49
6 FRAN-DANCE(Davis) 7:28

 
Disk 2
7 WALKIN’(Carpenter,Davis)/THE THEME(Miles Davis) 17:18
8 WALKIN’(Carpenter,Davis)13:20
9 AUTUMN LEAVES(Joseph Cosma)13:32
10 SO WHAT(Davis) 11:11
11 ’ROUND MIDNIGHT(Thelonious Monk)/THE THEME(Davis) 7:15

 
Disk 3
12 JUNE NIGHT(Abel Baer) 10:41
13 STARDUST(Hoagy Carmichel) 4:18
14 ON GREEN DOLPHIN STREET(Washington,Kaper) 13:44
15 ALL BLUES/THE THEME(Davis) 14:40
16 ALL OF YOU(Cole Porter) 15:37

 
Disk 4
17 WALKIN’(Carpenter,Davis)14:38
18 AUTUMN LEAVES(Joseph Cosma)/THE THEME(Davis)14:47
19 SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE(Romberg,Hammerstein II) 8:09
20 MAKIN’ WHOPEE(Donaldson,Kahn) 8:05
21 LOVER MAN(Ramirez,Davis,Sherman) 4:18
22 IF I WERE A BELL(Loesser) 11:09
23 NO BLUES/THE THEME(Davis) 14:11

レーベル:DRAGON
録音:1960年3月22日(1-7)、10月13日、スウェーデン、ストックホルム・コンサート・ホール

1-3,5-7
  • Miles Davis:trumpet
  • John Coltrane:tenor sax
  • Wynton Kelly:piano
  • Paul Chambers:bass
  • Jimmy cobb:drums
8-23
  • Miles Davis:trumpet
  • Sonny Stitt:alto & tenor sax
  • Wynton Kelly:piano
  • Paul Chambers:bass
  • Jimmy cobb:drums

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