さらりと良質のジャズが聴ける
アルバムはジャケットが大切です。本は表紙です。これはジャズに限りません。それなのにこのジャケット写真です。街で不良がうんこ座りしているようにしかみえません。タイトルも問題です。レコーディングの途中でアルトサックスのジャッキー・マクリーンが怒って帰ってしまったから『QUINTET/SEXTET』。なんというテキトーさ。ありえません。プレスティッジのボブ・ウエインストックさん、勘弁してください。
それでも、やっぱりマイルスはすごい。こんな扱いを受けつつも音楽は充実しまくりです。本作の場合、過激な斬新性や新しい試みといったものは鳴りを潜め、安定したいわゆるジャズが聴けます。ジャズを長年聴き、なおかつ音楽関連の業界にいたりしてさらにはマイルスを語って「普通のジャズが好き」「中庸なのがいい」などと軽々しくいえる人を私はあまり信用できませんが、そういう気分があることは事実です。そしてそういう気分だけどやっぱりマイルス、という場合には本作がぴたりなのです。
個人的に大好きなミルト・ジャクソンはいる、レイ・ブライアントもいる、パーシーヒースもアート・テイラーもいます。1、3曲目にはマクリーンもいます。全員がどっしりと落ち着いてジャズを演奏してる本作は、ジャケットにめげず傍らにおいておきたい1枚なのです。
麻薬地獄から自力で脱出したマイルスが、未だどっぷりのマクリーンに嫌気がさして喧嘩の末、マクリーンが切れて帰ってしまったようです。そしてこの後マクリーンはマイルスの音楽には不要の人となります。これからのマイルス超高純度音楽攻勢を考えると、“ラリってやっちゃう”では通用しないのは当然のことと思えます。
クレジットにはドラム、アーサー・テイラーとなっていますが、アート・テイラーのことです。
- DR.JACKLE(Jackie Mclean)8:52
- BITTY DITTY(Thad Jones)6:35
- MINOR MARCH(Jackie Mclean)8:15
- CHANGES(Ray Bryant)7:11
レーベル:PRESTIGE
録音:1955年8月5日
- Miles Davis:trumpet
- Milt Jackson:vibes
- Jackie Mclean:alto sax(1,3のみ)
- Ray Bryant:piano
- Percy Heath:bass
- Arthur Taylor:drums