マイルス唯一のワンホーンカルテット


THE MUSING OF MILES


マイルスのアルバムには1枚を通して表現されているコンセプトがあり、その強さが飛び抜けています(だからボーナストラックはやめてくれ!)。『THE MUSING OF MILES』の場合、次のような課題を持っていました。「間に対するコンセプト、タッチの軽さ、控えめな表現、音符や和音や楽節のアプローチ」。これは当時マイルスが感銘をうけたアーマッド・ジャマルというピアニストの影響です。

狙いどおり全体に間を大切にした控えめな表現になっています。ワンホーンとしたのはそのためでしょう。刺激を避けてゆったりとマイルスのトランペットが聴きたいというときには最適です。このポジションはマイルスのアルバムの中にあってはなかなか貴重といえます。

このアルバムはそういった意味で価値あるものですが、『THE MUSING OF MILES』のようなアルバムが何枚も出て欲しいかというと、これ1枚で十分です。普通のミュージシャンなら平気で何枚もやるのかもしれませんが、マイルスです。そういうことはしません。その後同じことをやってないのはこれでやりきってしまって、本人が飽きたものと推測します。マイルスは進化と深化の人です。表現コンセプトに多くの展開が望めなければ、次へいきます。

考えてみれば『イン・ア・サイレント・ウェイ』もそうでした。傑作をいきなりやりきってしまってそれっきりです。

  1. WILL YOU STILL BE MINE?(Dennis-Asmir)6:24
  2. I SEE YOUR FACE BEFORE(Dietz-Schwartz)4:47
  3. I DIDN’T(Miles Davis)6:08
  4. A GAL IN CALICO(Robin-Schwartz)5:18
  5. A NIGHT IN TUNISIA(Gillespie-Pararelli)7:24
  6. GREEN HAZE(Miles Davis)5:51
レーベル:PRESTIGE
録音:1955年6月7日、ニュージャージー、ルディ・バン・ゲルダースタジオ

  • Miles Davis:trumpet
  • Red Garland:piano
  • Oscar Pettiford:bass
  • Philly Joe Jones:drums

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